《船戸 与一》
◇「砂のクロニクル」「カルナヴァル戦記」「蛮族ども」「流砂の塔」「かくも短き眠り」◇

この人の作品はいつ映画化されても不思議ではないと思うぐらい、その詳細なプロットと規模の大きいアクションには感嘆させられます。ただー、スケールがでかすぎるのか、やはり実写化されるのはかなり難しいかもしれません。

船戸作品はたいてい海外が舞台です。しかも南米、中東、アフリカ、東欧、中国、東南アジアの紛争・民族対立地域でその壮大な冒険譚は編まれていきます。主人公は皆日本人ですが、「根無し草」のような連中で、祖国日本に対する執着がなく、むしろその民族性から脱却する事で、己を昇華させていっているように思えます。海外で最近活躍している日本人のスポーツ選手、アーティスト、映画関係者なども同じような感覚なのかもしれません。まぁ、船戸作品の日本人は、傭兵、武器商人、非合法員、探偵といったダークヒーロー的な存在なので、比較にはならないかもしれませんが、、 船戸氏は現地取材を徹底すると聞いていますが、登場人物の大半を占める外国人の思考、その民族性を主軸とした行動・会話などは、読むにつけ、「ああ、よくここまで詳細に調べられているなぁ」といつも心底から思いしらされます。 自分も外国人と会話する際に思い知らされるその独自の「民族的」思考を船戸作品は登場人物の行動・会話の中でさりげなく示し、その作品の国際色をより強めているものと窺えます。



《貴志 祐介》
◇「黒い家」「十三番目の人格 ISOLA」「天使の囀り」「青の炎」◇

この人も同じく関西出身ですが、経歴からの偏見で悪いのですが、おそらく「ええとこのエリートさん」作家という気がします。登場人物も、「正義感のちょっと強いフツーの人」です。 船戸作品のようなハナッからの状況の異様さも、楡・馳作品のような必要悪の積極的肯定もありません。 フツーの現実社会の中に、「黒い家」の菰田幸子のような、某無差別殺人を思い起こさせるような強烈なキャラクターの存在が、実社会を少しずつ歪にしていきます。。 ジャンルでは、ホラー小説の類が多いんですけど、「青の炎」のような描写がホラーチックなサスペンスもあります。そして、全作品共通なのは、「結局、世の中一番怖いのは人間だ」と思い知らされることです。作者は、京大の経済学部卒ですが、きっと心理学を探求したかったのではないか、と思わせるほど、心理学の話がたえず出てきます。 基本的に登場人物たちは、日本人的律儀さがあり、それを壊す「闖入者」の存在との対比で、恐怖を際立たせている、そんな風に解釈させられることが多いです。



《ラリー・ボンド 》 
◇「侵攻作戦レッド・フェニックス」「核弾頭ヴォ−テックス」◇
◇「テロリストの半月刀(シミタール)」「怒りの日」◇

小説家は、現代の預言者と、前述しましたが、まさにボンド氏の作品はそうだと思います。N.Y.の同時多発テロをブラウン管の画像から網膜に焼き付けられた刹那、彼の作品を思い浮かべ、背筋が凍りました。まさに「テロリスト〜」と「怒りの日」を連結させたような展開。 まさに国家間戦争から、テロリズムを中心とし、その対象を限定しないグローバル脅威・非対称脅威の幕開けのような気がしました。1990年代初頭を舞台にした「レッド・フェニックス」は朝鮮半島を、「ヴォーテックス」は南アフリカを舞台としたウォー・シュミレーションで、それはそれで、近未来の「If」として堪能できましたが、やはり近年発表された二作品はスゴイ。 また、彼の作品は、アメリカが結局勝つのは、しゃ−ないとして、ただ「アメリカって凄いだろう?」という独善的側面だけを押し出しているのではなく、「なぜテロに至るのか?」という大前提をテロリスト側からの独白で示している点が、他の似たような題材の小説と一線を画していると言えます。中東でのアメリカの傍若無人ぶりに激怒したテロリスト側が、アメリカで白人VS黒人、他のマイノリティーという構図で、「内戦」を画策し、実施する様は、巨大な人口国家アメリカの「全てが自由 差別する精神を含めての自由」という現状の脆さを思い知らされる情景です。そして、「アメリカにつくか、テロ側につくか!」のブッシュ大統領の演説に、ほいほい尻馬に乗った日本も、もはやいつ、この小説のような「混乱」に直面するか分からない立場だと、想像するだけで冷や汗もんです。




みなさんも、何か面白い・興味深い小説、ルポルタージュがあれば、フィクション、ノンフィクション問わず教えてくんさい! その事で、何かお互い意見交換できれば、楽しいと思います!  
浜村ジュンほどのネタバレはさせてないつもりですが、これから読む人は、このページ読まないほうがいいかも、、!
今さら遅し、か。(^^;)




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